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キリスト教には法事・法要に当たる儀式はある?
2020.08.06
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春と秋のお彼岸やお盆に、お墓参りに行くという人は多いのではないでしょうか。「四十九日」と呼ばれる忌引法要(きびきほうよう)や、節目の年に行われる「一周忌」「三回忌」などの年忌法要(ねんきほうよう)も周知されている行事です。これらは仏教由来の法要ですが、仏式での葬儀が一般的な日本では常識化しているともいえます。
一方、キリスト教ではどうでしょうか。キリスト教には供養という考えがありません。死は、「この世での苦しみから解放され、天国へ行く喜ばしいこと」と考えられているためです。だからといって、葬儀後は何もしないというわけではありません。キリスト教にも法事・法要に似た儀式があります。
この記事では、キリスト教における葬儀後の儀式について説明します。参加するときの注意点についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
カトリックでは追悼ミサがある
カトリックでは、「追悼ミサ」が行われます。追悼ミサでは、祈祷・献花・聖書朗読・聖歌斉唱などが教会で行われます。その後、茶話会が行われる場合もあります。
追悼ミサのスケジュール
追悼ミサを行う時期は基本的に自由とされています。必ずしも節目の日に行うわけではなく、遺族と教会(司祭)とで話し合い、追悼ミサの開催日を決めます。後述の11月2日の「万霊節(死者の日)」のミサをもって追悼ミサとすることもあります。
11月2日は万霊節(死者の日)
カトリックでは11月1日の「万聖節(諸聖人の日)、11月2日の「万霊節(死者の日)」を、クリスマスやイースターに並ぶ大切な日としています。
万聖節はすべての聖人と殉教者を記念する日、万霊節はすべての死者を追悼する日です。そのため、世界中のカトリック教会では11月2日に特別なミサを行います。
プロテスタントは記念会が行われる
プロテスタントで行われる追悼儀式は「記念会」「記念集会」「追悼会」などと呼ばれます。なぜ呼び方が異なるかというと、プロテスタントにはいくつかの宗派があるためです。追悼儀式が開催される場所や時期も一定ではありません。宗派によっては、月初めに数名一緒に追悼儀式を行うこともあるようです。
カトリックと同様、教会で開催され、牧師の説教・祈り・聖書朗読・賛美歌斉唱などが行われます。その後、茶話会にて故人を偲ぶのも、カトリックと同じです。
イースター(復活祭)にお墓参りをすることも
イースターとはイエス・キリストが死から甦ったとされる日で、日本では「復活祭」と呼ばれます。
イースターの日は、万霊節のように決まった日ではありません。「春分の日(3月21日)が終わって初めて来る満月のあとの日曜日」とされているため、毎年変わります。2019年は4月21日、2020年は4月12日でした。2021年は4月4日がイースターとなります。
イースターにはイエス・キリストの復活を祝う特別礼拝や、合同記念会(追悼会)が行われます。また、弟子たちがイエス・キリストの復活を知ったのが死後3日目の早朝の墓地だったことから、教会の共同墓地でお墓参りを兼ねた早朝礼拝が行われることもあります。
キリスト教式の法事(追悼儀式)参加の注意点
キリスト教式の法事(追悼儀式)に参列するときのマナーは、仏式の法要とほぼ同じと考えて構いません。宗教には、その国独自の風習や考え方が加わった、本来とは異なる習慣があります。
例えば、お彼岸のお墓参りは他の仏教国にはない日本独自のものですし、カトリックの通夜式も日本の風習に合わせて行われるようになったものです。ただし、死に対する考え方は、キリスト教と仏教とでは大きく異なるため、その点は注意してください。
次に、キリスト教式の追悼儀式に参列するときの注意点について説明します。
案内状が届いたら
仏式でも同じですが、案内状が届いたらなるべく早めに返事を出しましょう。追悼儀式や茶話会を開く場合、遺族は参列者の大体の人数を把握する必要があるからです。
どんな服装で行く?
ミサや礼拝の中で行われる合同の追悼式では、服装はまったく自由です。しかし、招待を受けて参列する場合には、礼服または略礼服を着用するようにしましょう。
案内状に「平服で」と指示があった場合には、黒やダークグレー、濃紺などの控えめな色のスーツやワンピースがおすすめです。葬儀のときと同じく、派手な髪型やアクセサリーなどは控えるよう気をつけてください。
香典袋にも注意
仏式の法要と同じくキリスト教においても弔慰金(香典)を持参するのが一般的です。キリスト教の香典袋は、表書きに「御花料」と書かれ、十字架や白ユリが描かれた専用のものです。無地の白封筒に「御花料」と手書きしたものでも問題ありません。蓮の花が描かれたものや、表書きが「御仏前」となっているものは使用できないので注意してください。
キリスト教でも法事・法要に当たる行事がある
キリスト教にも仏教の法事・法要に当たる行事があります。また、仏教の法事・法要が宗派によって多少異なるように、カトリックとプロテスタントとでは内容や開かれる時期などが異なります。
キリスト教では「死は喜ばしいこと」と考えられていますが、大切な人を亡くした悲しみや寂しさは宗教や宗派が違っても同じです。追悼の儀式・集会に参加するときは、節度ある服装や言動を心掛けましょう。