葬儀の準備
なぜ火葬するのか|宗教・歴史から考える
2023.09.28
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「なぜ火葬するんだろう」と考えてしまったことはありますか?
他国では火葬以外の埋葬方法もあるのに、不思議ですよね。
当記事では、日本で火葬が主流な6つの理由と歴史的背景、実際の火葬の手続きまでお伝えします。
キリスト教では本来火葬しない話も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ火葬するのか
「なぜ火葬するのか」に対する理由を6つ挙げます。
1.日本が仏教圏だから
2.伝染病の予防策の一環
3.土葬が法律で制限されている
4.自治体によっては土葬が禁止されている
5.家族意識の強さの表れ
6.慣例に疑問を覚えない人が多い
1つずつ見ていきましょう。
1.日本が仏教圏だから
火葬がおこなわれている最大の理由は、日本が仏教の国であることが挙げられます。
仏教の開祖であるブッダが火葬されたことにちなみ、仏教徒は火葬されることになっているそうです。
もちろん神道やキリスト教を信仰している方もいますが、お寺に代々の墓を持つ方が圧倒的に多いのです。
もし、明治時代に火葬禁止令が解けていなかったら、日本は土葬する国になっていた可能性があります。
詳しくは後ほど歴史的背景とともに紹介します。
2.伝染病の予防策の一環
現実的な理由の1つとして、伝染病の予防策の一環という側面があります。
火葬は公衆衛生の観点から、土葬よりも衛生的な埋葬方法とされています。
特に感染症で亡くなった方のご遺体は火葬することが定められており、厚生労働省によると、感染を防ぐため24時間以内の火葬が望ましいそうです。
伝染病で亡くなった場合のガイドラインもあるので、公式見解を知りたい方はこちらもご覧ください。
引用:厚生労働省ホームページ,2015年,「○一類感染症により死亡した患者の御遺体の火葬の取扱いについて(通知)〔墓地、埋葬等に関する法律〕」,(2023年09月21日,https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1272&dataType=1&pageNo=1)
3.土葬が法律で制限されている
日本では土葬は禁止されていませんが、特別な許可が必要です。
厚生労働省の定めにより、現在の日本で土葬をするには市町村長の許可を受け「埋葬許可証」をもらう必要があります。
また、土葬の許可が下りたとしても、明確に決められたルールに則って埋葬することになっています。
一連の手続きをおこなわずに土葬すると、死体遺棄罪に該当し、罪に問われることになってしまうため注意しましょう。
4.自治体によっては土葬が禁止されている
自治体によっては土葬が禁止されている地域もあります。
現在の日本で土葬が可能なのは、北海道・奈良県・山梨県など一部の地域のみです。
土葬できる霊園を探し、土地を確保するのは容易いことではありません。
どうしても土葬を希望するなら、可能な土地に移住し生前に墓地を確保する等、念入りな準備が必要になってきます。
5.家族意識の強さの表れ
火葬は家族で同じ墓に入るという、家族意識の強さの表れともいわれています。
日本では先祖代々の墓を持っている家が多く、慣例的に、代々守り続けている墓に入るものとされています。
一人ずつ墓を用意する海外の風習とは違い、火葬して骨を墓に入れるというのは家族意識の強さの表れでしょう。
6.慣例に疑問を覚えない人が多い
慣例に疑問を覚えずに、まわりに合わせて火葬している方もたくさんいます。
現在日本では火葬が一般的ですし、火葬場も多く用意されています。
そのため、慣例に従って火葬するのが一番楽なシステムになっているのです。
宗教心が薄い多くの日本人は、火葬することに何の違和感も覚えず、そういうものだと思って火葬しているというのが実情でしょう。
なぜ火葬するのか?主流になった背景
日本で火葬が主流になった歴史的背景を、以下のとおり説明します。
・飛鳥時代に仏教とともに広まった
・一般庶民にも火葬が広まったのは江戸時代の終わり頃
・明治時代の火葬禁止令
・大正時代に火葬場が整う
・現在はほぼ100%が火葬
順番に見ていきましょう。
飛鳥時代に仏教と共に広まった
火葬は飛鳥時代に仏教と共に広まったという説が最も有力です。
日本では火葬は仏教と深い関連性があるとされています。
書物に残っている日本最古の火葬事例は、日本書紀に記されている、奈良の道昭という高僧が火葬された際の記録です。
当時は身分の高い方しか火葬されなかったようです。
火葬が一般庶民にも広まったのは江戸時代の終わり頃
火葬が一般庶民にも広まったのは江戸時代の終わり頃といわれています。
仏教の広まりと共に皇族・貴族・僧侶など身分が高い人が火葬されることは多かったものの、庶民は土葬が一般的でした。
江戸末期に庶民が火葬されるケースが出てきましたが、簡素な作りの小屋で火葬していたため臭いやけむりがひどく、近隣住民が健康被害に悩まされていたといわれています。
明治に差しかかる頃には、火葬によるデメリットが強く問題提起されるようになっていました。
明治時代の火葬禁止令
明治時代には、火葬禁止令が出ました。
それまで神道と仏教を一緒にしていた考え方が禁止され、国家神道が成立したことがきっかけです。
神道の神職者たちは仏教式の火葬廃止を政府に訴え、明治政府がそれを受け入れた結果、火葬が禁止されました。
しかし、人口が急増したことで土葬する土地を確保するのが難しくなり、埋葬不可能な方が出てくるなど、混乱が生じました。
混乱を受け、明治政府は火葬禁止を廃止せざるを得なくなり、反対に人口の多い土地を土葬禁止にする措置をとったそうです。
大正時代に火葬場が整う
地方自治体が積極的に火葬場の設営をおこなった結果、大正時代になる頃には全国の仮装設備が整ってきました。
江戸時代に発生していたような、火葬の煙による健康被害もなくなり、現在の葬儀スタイルに近づきました。
土葬より火葬のほうが人手がかからず、費用も抑えられるということで、日本各地で火葬する人が増えていったといわれています。
現在はほぼ100%が火葬
現在日本で火葬する人の割合はほぼ100%になっています。
例外は、以下のとおりです。
・宗教上の理由で土葬を強く希望する方がいる
・土葬の習慣が根強く残る地域もある
・大規模な災害で火葬場が使用できないとき、やむを得ず土葬する場合がある
ただ、公衆衛生の問題もあり、土葬されるケースはかなり少ないです。
キリスト教ではなぜ火葬しないのか
キリスト教では基本的に火葬しないことになっています。
キリスト教と火葬について、以下のとおり解説します。
・復活するための受け皿である肉体を燃やすのはタブー
・プロテスタントのなかでは火葬も一般的になりつつある
・日本ではキリスト教徒でも火葬する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
復活するための受け皿である肉体を燃やすのはタブー
キリスト教では、復活するための受け皿である肉体を燃やすのはタブーとされています。
キリスト教の死生観では、逝去された方はキリストのようにいつか復活して天国へ行けるといわれています。
受け皿となる肉体が燃えてなくなってしまっていたら復活できないので、火葬してはいけないのです。
教義に厳しいカトリック教徒は、いまでも火葬しない人が多いようです。
プロテスタントのなかでは火葬も一般的になりつつある
カトリックが火葬禁止を守り続けている一方、比較的自由なプロテスタントのなかでは火葬も一般的になりつつあります。
たとえば、イギリスでは土葬する土地がないという理由で火葬を選ぶ人が増え、現在では70%以上の人が火葬を選択しています。
また、近年では土地不足や感染症予防対策など、現実的な理由で土葬にこだわっていられなくなり、カトリック教会でも火葬を認めざるをえない場合があるとか。
時代と共に埋葬方法に変化が生じているようです。
日本ではキリスト教徒でも火葬する
日本ではキリスト教徒でも火葬する場合が多いです。
土葬が禁止されていないとはいえ、火葬が一般的なこの国でキリスト教徒全員を土葬するのは現実的ではないからです。
実際に当社では逝去された方を、仏教徒と同じように火葬しています。
ご希望によっては通夜や香典といった仏教に近い慣習を取り入れた葬儀もおこなえますので、気になる方はご検討ください。
火葬の手続き
死亡が確認されたら「火葬許可証」を取得します。
その後、火葬となりますが、今回は仏教の火葬だけでなくキリスト教のケースも紹介します。
【重要】事前に「火葬許可証」を取得しておく
火葬するには「火葬許可証」を取得しておく必要があります。
火葬場で必ず必要になる書類で、申請を忘れると火葬できない事態に陥ってしまいます。
火葬許可証の申請は、逝去された方の住民票がある自治体に「死亡診断書」を提出し、「死亡届」「火葬許可申請書」を書くと発行されます。
葬儀社によっては申請代行もおこなっているので、気になる方は担当者に確認しましょう。
一般的な火葬の流れ
葬儀場から火葬場へ移動したら、棺を炉の前に安置し、納めの式をおこないます。
はじめに菩提寺の住職による読経があります。
続いて、喪主・ご遺族・親族の順に焼香しましょう。
最後に全員で合掌して、逝去された方との最後のお別れをしたら、火葬します。
火葬が終わったらお骨上げの儀式です。
火葬された遺骨を、二人一組で竹の箸で同時に拾い上げて骨壷に納めていきます。
最後に喉仏を納めたら終わりです。
キリスト教の火葬の流れ
キリスト教では火葬前の流れが仏教とは異なります。
聖職者が祈りを捧げ、聖歌を合唱します。
合唱を控えるよう案内される火葬場もあるので注意しましょう。
祈り終わったら聖職者と参列者による聖句交唱です。
それが終わったら、撒水・撒香をおこなう場合があります。
再び聖職者による祈祷をおこない、聖句を交唱したらいよいよ火葬です。
火葬後には、お骨上げにあたる儀式はありません。
なぜ火葬するのか?宗教上の理由だけではない
今回は「なぜ火葬するのか?」の問いに答えていきました。
宗教上の理由だけでなく、土地不足や衛生面など、現実的な理由もありました。
キリスト教では本来火葬はおこないませんが、当社では日本の現状に合わせ、火葬をとりいれています。
仏教の菩提寺を持つ方でも、埋葬許可が下りるなら葬儀だけでもキリスト教式にすることは可能ですので、気になる方は以下のページをご覧ください。