葬儀のマナー
カトリックの亡くなった方への祈り言葉とは?
2023.04.24
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「キリスト教では亡くなった方のご遺族にはどんな声をかけたらいいの?」
「亡くなったご遺族への声かけで間違えたくない」
このような悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。
キリスト教、特にカトリックでは死は生へのあらたな旅立ちであり、悲しむものではないといった考え方をします。
当記事ではカトリックの亡くなった方への祈りの言葉を紹介しながら、葬儀の流れなどもあわせて解説します。
カトリックの亡くなった方への祈りの言葉
カトリック等キリスト教の葬儀では、お悔やみの言葉ではなく、ご遺族の気持ちに配慮して慰めの言葉を述べるのが一般的です。
仏教とは違い「死」を終わりではなく生の始まりと捉える宗教だからです。
慰めという言葉を使うと死への配慮が含まれると思われがちですが、新しい旅立ちを意味する言葉のため死を悲しいものと捉えないようにしましょう。
ただし、あくまでキリスト教での言葉になるため、逝去された方の宗教を事前に知っておくことが大切です。
以下では、慰めの言葉の例文や、キリスト教の宗教観を解説します。
慰めの言葉を述べるのが一般的
カトリックの葬儀ではご遺族に慰めの言葉を述べましょう。
「ご愁傷様です」等、悲しみを表す言葉をかけるのは、この場合適切ではありません。
お悔やみの言葉の代わりに以下のような声かけをしましょう。
・「お知らせいただきありがとうございます」
・「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」
・「天に召された〇〇さんの平安をお祈りいたします」
悲しいことではなく新たな旅立ちだと理解していれば、仏式や神道式のお悔やみの言葉をうっかり口にすることはないでしょう。
死は生の始まりであり祝福であるという宗教観
カトリックの葬儀でお悔やみの言葉を使わないのは、死は生の始まりであり祝福であるという宗教観だからです。
死は天上の神から地上での罪が許され、永遠の安息を与えられることとされています。
神のもとに召された方は、やがて訪れる復活の日までおだやかに天国で過ごすことになっています。
その後元の肉体に戻って復活を遂げるといった信仰になっているため、死によって天国に旅立つことは喜ばしいことです。
ですから、宗派にもよりますが、キリスト教、特にカトリックでは葬儀は華やかに執り行われます。
臨終から儀式が始まる
カトリックでは死の迎え方が葬儀よりも重視されています。
まだ意識のあるうちに司祭または神父を呼び、「終油の秘蹟」を行なって神に祈りながら臨終を迎えます。
終油の秘蹟とは、逝去される方の身体に聖油を塗り、地上での罪からの解放と永遠の安息を神に祈る儀式です。
この儀式を行うことで生きている間のすべての罪が許されるとされています。
一方で有名な宗派であるプロテスタントでは、臨終の際に行われることは異なります。
以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
カトリックの亡くなった方への忌み言葉
カトリックの葬儀では、次の言葉を使用しないよう気をつけましょう。
・仏教で用いられる言葉
・重ね言葉
・生死に関する直接的な表現
具体的に説明します。
仏教で用いられる言葉はNG
生死観が根本的に異なるため、仏教で用いられる言葉はカトリックの葬儀で使用しません。
・「ご冥福をお祈りします」
・「ご愁傷様です」
・「お悔やみ申し上げます」
といった言葉は口にしないようにしましょう。
「安らかに眠っていただけるようお祈り申し上げます」
といえば、どの宗教・宗派でも差し障りなく使えます。
不幸が重なることを連想させる重ね言葉
重ね言葉は、不幸が重なることを連想させるとして、葬儀の場では不適切とされています。
重ね言葉とは「いろいろ」「近々」「つくづく」等、同じ言葉を重ねて使うものを指します。
重ね言葉を使ってしまいそうになったら、別の言葉で代替できないか考えてみましょう。
直接的な表現も控える
生や死に関する直接的な表現も忌み言葉になります。
センシティブな言葉は次のように言い換えて使いましょう。
・死ぬ→逝去
・急死→突然のこと
・生きていた→お元気な頃
ご遺族を傷つけてしまったり不快な思いをさせてしまったりする可能性があるため、婉曲的な言い回しをするよう配慮しましょう。
カトリックとプロテスタントで亡くなった方への祈りの言葉に違いはある?
同じキリスト教でも、カトリックとプロテスタントでは表現が異なる場合があります。
厳格でしきたり重視なカトリックと、比較的自由なプロテスタントでは、考え方に多少の違いが見られます。
言葉に着目してカトリックとプロテスタントの違いを見ていきましょう。
具体的な違いは次のとおりになります。
・カトリックでは「帰天」プロテスタントは「召天」
・聖職者をカトリックでは「司祭・新婦」プロテスタントでは「牧師」
それぞれの言葉について詳しく解説します。
カトリックでは「帰天」プロテスタントは「召天」
カトリックでは「帰天」プロテスタントは「召天」と表現します。
逝去された方は天に召されるもの、という基本的な考え方は同じです。
キリスト教の生死観はイエス・キリストの死と復活のストーリーを基にしています。
イエス・キリストは弟子の裏切りにより一度亡くなりましたが、3日目に復活したそうです。
同じように、天界にいる神のもとに帰った方は、いつかイエス・キリストのように復活の日を迎えると信じられています。
聖職者はカトリックでは「司祭・神父」プロテスタントでは「牧師」
キリスト教の聖職者の呼び方も、カトリックでは「司祭・神父」プロテスタントでは「牧師」と異なります。
それぞれ以下の意味があります。
・司祭=カトリック教会の職位のひとつ。最高位は「司教」になる
・神父=司祭の敬称
・牧師=プロテスタントの教職者で、先生と呼ばれる場合もある
カトリックの場合は会社のような序列があり、信者とは明確に区別されます。
聖書を読んで説教を行ったり、ミサをあげたりする権限を持つのが聖職者で、女性はその地位につけません。
司祭・神父は神と結ばれているため、一生独身を貫くことになっています。
一方、プロテスタントの牧師は信者と同列の立ち位置で、聖職者の特権のようなものは特にありません。
便宜上、メインの牧師を決めたり副牧師がいたりすることもありますが、カトリックのような厳格な序列はありません。
信者も聖書を読むことができ、牧師も結婚が認められています。
カトリックの葬儀の流れ【祈りの言葉も確認】
カトリックの葬儀の流れは次のとおりです。
1.危篤・臨終
2.葬儀のミサ
3.告別式
4.追悼ミサ
ご遺族に対する祈りの言葉は、基本的に出会った際に声かけをするので、どんなときにでも伝えられるようにしておきましょう。
あまりにも急な訃報に対して、いつも使っている言葉をとっさに使ってしまうこともあるため注意が必要です。
危篤・臨終
危篤になったら洗礼を受けた教会に連絡し、司祭または神父に立ち会ってもらいます。
神に祈りながら臨終を迎えることで罪が許され、神の恩恵を受けられる状態にします。
なお終油の秘跡(病人塗油の秘跡)は古代では死に行く方のみに与えられていた儀式ですが、現代では重病人になった段階で誰しもが受けられるようになっていて、病気の回復や罪の許しを願う祈りが聖職者から与えられるでしょう。
また、終油の秘跡の前に告解の秘跡を行い、自身の罪を告白することをすすめられるため、事前に聖職者との打ち合わせを行っておくといいでしょう。
具体的な危篤や臨終の際の儀式については以下の記事を参考にしてみてください。
葬儀のミサ
危篤状態の方が逝去すると納棺が行われ、葬儀のミサが行われます。
通常日本では葬儀の前に通夜が行われますが、カトリックでは通夜は行われません(キリスト教内でも通夜は取り扱いが異なる)
ただ、日本の風土的な慣習として通夜をカトリック宗派でも行うことがある点には注意しましょう。
なお、葬儀のミサの際にご遺族に出会う方も多いので、前もってお祈りの言葉も確認しておきましょう。
告別式
葬儀のミサが終わると続いては告別式が執り行われます。
葬儀のミサでは、説教なども聖職者から行われるためカトリック色が強く出ますが、告別式では出棺前の儀式としての意味合いが強くなり宗教色は薄れます。
とはいえ、仏式と比べると焼香が献花に変わるので、マナーもきちんと知っておく必要があります。
追悼ミサ
なお、告別式から出棺式を経て葬儀が終わると日本の風習である四十九日にあわせて追悼ミサを行う場合もあります。
ただ、カトリックにおいて四十九日法要はありませんし、追悼をいつ行うのかといった決まりもありません。
そのため、聖職者と話し合い日取りが決まることが多いです。
ここまでの葬儀の流れは以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみましょう。
カトリックの葬儀に関連するメッセージの書き方【祈りの言葉も含む】
葬儀の際に香典や供花を受け取ったら、返礼品をお渡しする場合が多いです。
その際、お礼状を添えることもあります。
カトリックのお礼状は、以下の項目を記載することになっています。
・文頭に十字架を書く
・「主の平和」の記載
・名前の右上に洗礼名
カトリックはしきたりを重視する宗派なので、型を守らない書き方は好まれません。
キリスト教の死生観をきちんと踏まえた上でメッセージを書きましょう。
より詳しいマナーを知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
カトリックの葬儀に参列する際には亡くなった方への祈りの言葉に注意!
今回の記事では、カトリックを信仰していた方が亡くなった際の祈りの言葉について詳しく解説してきました。
日本で多く信仰されている仏教と比べると、お悔やみの言葉を使わないためどうしたらいいかと迷う方もたくさんいるでしょう。
ただ、カトリックでは宗教上、死を新たな旅立ちであるといった考え方をするといった理解があると、ご遺族にかける言葉も必然的に変わってくることがわかります。
その他にも宗教上のマナーはたくさんあるので、気になる方は以下の記事からキリスト教の葬儀に関するマナーをきちんと学びましょう。